経済では「破壊的変化(disruptive change)」
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ドイツ経済が今好調なのは、共通ユーロがあるため。
ドイツはユーロ圏内の市場にアクセスがしやすく、ユーロ圏以外の日本、アメリカ、中国に対しても通貨価値を低く保てる。
ドイツは歴史的に見て工業国として、輸出に頼っている。
ドイツは輸出で繁栄し、ファンダメンタルズ、経済優位はユーロで保たれている。全てはユーロ次第。
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■フランスはユーロ導入まで国の債務拡大を裏付けとした経済成長によって追いつくことを常としてきた。
が、それは自国の中央銀行があったときまでで、現在は欧州中央銀行(ECB)が中央銀行の役割を担っている。そしてECBはフランスの政治から独立して、ドイツ主導で動いている。
■EU内で核保有国であったのはこのれまでイギリスとフランスだったが、イギリスのEU離脱によってフランスだけとなった。
国連の常任理事国もこれまで2カ国だったが、フランスだけとなる。
フランスは「ヨーロッパの強国はフランス」という地位をより強固にできる。
■一方、アメリカではトランプが大統領だからといって大勢に変わりは無い。
アメリカは依然として金融界と軍事によって動かされているからだ。
■高額所得者は法律の枠組みを作っている役人よりはるかに優秀な税理士やアドバイザーを雇ってどんな法律にも対応してお金を動かし、税金逃れをすることができる。
そういう意味ではまともに税金を払っている納税者は常に負ける状況にある。
「私は大金持ちだから収賄によって買われることはない」というトランプは「ボナバルト主義者ー大衆の支持を得た独裁者」のようなもの。
革命ではないが、選挙であたかも人民を代表しているとしながら、実は権威主義的な態度で民衆を抑えつけようとする。
民衆とエスタブリッシュメントの間にあって双方に実質的権力をふるう。
■「運任せ」の債務拡大
■債務は特にアメリカで恒常的に増える。
債務には種類が3つある。
政府の債務、個人の債務、法人の債務。
問題はこの3つの債務が合計でどのくらいあるか。。
アメリカの一般の家庭の個人債務の合計は中国のGDPより多い。
▲債務が増え続けるとどうなるのか、正直言ってそれは誰も分からない。
なぜならこれまでの人類の歴史の中でこれほど債務が膨れ上がったことがないからだ。
運を天に任せるしかない。
■ドイツはEUの一部であって、もはや一国でなりたっているわけではない。
EUを一つの単位と見ると、EUの中のドイツは、日本の東京に相当するようなもので、経済活動の中心となっている。
このため、イタリアやスペインでは失業者が多いが、ドイツに冨を吸い取られている。
もともと、スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャなどすべてユーロ圏に加盟するべきではなかった。
政治的に加盟することになったが、歴史的に見てもインフレ率が常に高く競争力が低い。ドイツにとってユーロ通貨の価値は低く設定され、南欧の国には高すぎる。しかしもう格差を是正するには遅すぎる。
時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか 単行本 – 2016/2/20