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”主役の電子が活躍
どんな物質にも、電子を入れる引出しがある、と考えましょう。
引出しの高さは、物質ごとにちがいます。
マイナス極の引出しは必ず、プラス極より高い位置にあるのです。
そして、マイナス極の引出しには電子が入っています。
プラス極は、引出しが空のままです。
引出しが高いということは、中にある電子のエネルギーが高いということです。
ボールが低いところへ転がり落ちるように、導線でプラス極とマイナス極をつなげば、マイナス極からプラス極に向かって、電子が流れ落ちます。
導線でつなぐだけでは、電子は流れません。
プラスとマイナスのイオンに分かれる電解質が必要です。”
アルカリ乾電池には、”1.5Vボルト”と書いてありますね。この値は電池の電圧で、プラス極とマイナス極の”引出しの高さの違い”を表します。
電池にとって大切な尺度には、電子が時間あたりにどれだけ流れたかを表す電流(単位Aアンペア)や、流れた電子の総量を表す電気量(単位Cクーロン)もあります。
1Aの電流を1秒流すと、1Cになります。
電圧1Vで電気量1Cが流れれば、1J(ジュール)の仕事ができます。
流れる電気量が同じでも、電圧が大きいほど、つまり、マイナス極の引出しが高く、プラス極の引出しが低いほど、多くの仕事ができるのです。
エネルギー(電力量)の単位もJです。
電池が1Jの仕事をするときは、1Jの化学エネルギーを電気エネルギーに変え、それを使って仕事をするのです。
同じ仕事をするにも、速いにこしたことはありませんね。
それを表すのが仕事率(出力、電力)、単位はW(ワット)です。
1秒あたりの仕事が1Jなら、1Wというわけ。
充電できない電池を一次電池
充電して繰り返し使える電池を二次電池(蓄電池)
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リチウム電池は100%充電せずに、80%くらいまで充電して使うほうが長持ちします。
スマホ、パソコン、デジカメなどでは、80%くらいの充電で警告サインが出るものが多くなっています。そこで充電をやめるかのが、へたりを遅らせるコツです。
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地面の受けるエネルギー
”年に10
21kJ”と言われても、ピンときません。もっと身近な状況を考えましょう。
快晴で太陽が真上にあると思ってください。そのとき地面の1㎡が受けるエネルギー(正しくは仕事率)は、ほぼぴったり1kW(1秒当たり1kJ)です。
太陽がいつも真上にいるはずではなく、雨や曇りの日もあり、季節でも太陽の高さは変わる。
日本の緯度だと、昼夜・晴雨・季節変動をならした平均は140Wm
-2です。
それを効率10%の太陽電池で変換すると、5mX20mの大型パネルは、平均出力が1.4kWになります。
なお、太陽光パネルの製品に書いてある”定格出力”は上記の”1kWm
-2”を仮定した計算値です。
現実の出力ではありません。
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植物が酸素をつくる
私たちが吸う酸素は、みな植物が光合成により作りだしています。
まずは、光合成のしくみをざっと眺めます。
何種類もある光合成のうち、身近な植物=高等植物だけ考えましょう。
だ
緑の葉1gは、酸化・還元力を生む分子集団(光合成単位)を1000兆個ほど含みます。
コンピュータに使う超LSIも真っ青の集積度ですね。
太陽からの光子を吸収するのは、おもにクロロフィル分子です。
クロロフィル分子は、太陽電池や光触媒に使う半導体のように、上下2段の引き出しを持っています。
光を吸収すると、光子のエネルギーが、電子を下の段から上の段へと持ち上げるのです。
空になった下の引出しは、水分子
H2Oから電子を奪います。(水の酸化)
そのときできるのが、私たちが吸う酸素O2 だといういうわけ
(2H2O⇒O2++4H+ + 4e-)
上の引出しは、NADPという有機分子に電子を渡し、NADPHという形に還元します。
NADPの引出しは少し低めです。
電子がその段差を落ちるときのエネルギーを使い、植物は生命活動をしているのです。
植物は、NADPHの電子を空気中の二酸化炭素CO2に渡し、グルコース(ブドウ糖)などに変えます。
こうして余ったエネルギーを蓄えるのです。
蓄えたエネルギーは、夜間、曇りや雨の日、日差しの弱い冬などに使い、私たちの動物の栄養になります。
つまり、植物は光合成で、光のエネルギーを電子のエネルギーに変えているのです。
光合成は、電池の充電に似ています。
酸素は、水から電子をとったあとの”残りかす”だと言えましょう。
生命が誕生する前、地球の大気には酸素はありませんでした。
40億年前に生命が生まれ、30億年前には光合成を行う微生物が登場し、光合成をしながら、”残りかす”の酸素を大気に捨ててきました。
こうして現在のように、大気に酸素がたまっていったのです。
生命活動のもと=呼吸
陸上+海中の地球全体では、年に約4000億トンのCO2を
植物が糖分などの有機物に変えています。
毎秒の平均で約1万トン。。。。と言われても実感しにくい規模ですが。。。
木や紙は”いまの光合成産物”、石炭や石油は”太古の光合成産物”ですね。
そんな有機物を燃やせば、熱や光の形でエネルギーが出てきます。
私たちも含む動物は、栄養としてからだに取り込んだ糖分を酸素と反応させ、エネルギーを取り出す。
その現象を、呼吸と呼びます。
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からだの酸化
呼吸をするとき、じつは、酸素の2%ほどは、”活性酸素”と呼ばれる物質に変わります。
その活性酸素が、病気や老化を招く原因の一つです。
活性酸素とは?
活性酸素が病気を招く
活性酸素が遺伝子のDNAを酸化すると、がんになるおそれが大きくなります。
また、コレステロールを酸化すると、動脈硬化が起こりやすくなるのです。
そのほか、白内障、アルツハイマー症、糖尿病などにも、活性酸素が関係すると言われます。
お肌のシミやしわを始めとする老化現象にも、活性酸素が深くかかわっているとの説が有力です。
どうしたら体の酸化を防げるか? → 電子とイオンで活性酸素を退治。
金属の錆びを参考に考えましょう。
酸素や水に触れさせない方法と、電子を与える方法がありましたね。
酸素や水に触れさせなければ、からだの酸化も止まるでしょう。。。。
でも、
呼吸もできなので細胞は生きられません。
だから、
活性酸素に電子を与えて、酸化を防ぎます。
ビタミンCやビタミンE、カロテン、尿酸、ビリルビンなど、いろんな物質が活性酸素に電子を渡します。
カテキンなどのポロフェノール類も同様。
これらは酸化に対抗するので、”抗酸化物質”と呼びます。
体は、活性酸素を退治する酵素も備えています。
スーパーオキシドディスムターゼという酵素は、O2-から電子1個を奪って酸素分子O2に酸化し、その電子をもう一つのO2-に、2個の水素イオンH+とともに与えて、過酸化水素H2O2に還元します。
運動で酸化に対抗
運動をすると活性酸素が過剰にできるため、体によくないという説があります。しかし適度な運動は病気になりにくく、老化しにくい体を作るのです。
DNAと遺伝子
成人なら約60兆個もある細胞のどれも、からだ全体をつくる”設計図”を持っています。
DNAという分子のうち、遺伝子とよばれる部分のことです。
細胞が分裂するとき、二重らせんも1本ずつ分かれ、複製された二つの同じDNAが、分裂したそれぞれの細胞に入ります。
こうして、同じ設計図をもつ細胞が増殖できるのです。。
DNAが傷ついてしまうと、正しい姿の細胞をつくれません。
がんなどの病気になることもあります。
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もっと難しいのが、
二酸化炭素を有機物に還元する反応。。
でもそれができれば、石油から作っている繊維やプラスチックを、二酸化炭素と光から作れるようになるのです。
石油や石炭が無くなる日を、心配しなくてすみますね。
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電池はどこまで軽くなる? 単行本(ソフトカバー) – 2013/12/19