2016年1月27日水曜日
投稿日 2016年1月27日水曜日
更新日
まえがき
最近、物議を醸したプロジェクトは、ティール・フェローシップである。
これは、20歳以下の若者に対して、学校をやめる他には条件無しに2年間で100万ドルを支給し、研究や仕事に没頭させるちうプログラムである。
これはあまりにも大胆な社会実験であり、一定の批判を受けた。
しかし、ティールによれば、今の高等教育の隆盛はバブルでしかなく、飛び抜けて優秀な頭脳の持ち主にとっては、大学は集中すべき活動に割く時間を奪い、一般的な活動しか与えていない有害なものである。
「完全に自主的な知性、何か新しいMのを作る決意、そして、それを実現する力を持った者」
をその課題に専念させれば、大きな成果を上げることができるから、その資金を出そうというわけである。
このプログラムの応募書類の中には、本書でも紹介される、ティールが最も重視する質問が出てくる。
それは、
「世界に関する命題のうち、多くの人が真でないとしているが、君が真だと考えているものは何か?」
というものである。
つまり、ティールは、強い個性を持った個人(ただし、実際にはティールは少人数のチームを重視する)が、世界でまだ信じられていない新しい真理、知識を発見し、人類をさらに進歩させ、社会を変えていくことを、自らの究極の目的としているのである。
P22
採用面接でかならず訊く質問がある。
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
P24
進歩は次の二つのか形のどちらかになる。
ひとつは水平的進歩、または拡張的進歩と言ってもいい。
それは、成功例をコピーすること、つまり1からnへ向かうことだ。
水平的進歩は想像しやすい。すでに前例を見ているからだ。
もうひとつの垂直的進歩、または集中的進歩とは、新しい何かを行うこと、つまりゼロから1を生み出すことだ。
それまで誰もやったことのない何かが求められる垂直的進歩は、想像するのが難しい。
1台のタイプライターから同じものを100台作るのが水平的進歩だ。
タイプライターからワープロを創れば、それは垂直的進歩だ。
P101
あいまいで楽観的な僕たちの世界
あいまいな金融
どうやって富みを創り出すか皆目分からない時に唯一利潤を上げる金融は、あやふやな未来にぴったりの業界だ。
金融業界にいても、すべてがあやふやだと分かる。
成功した企業家が会社を売却するとどうなるかを考えてみよう。
そのカネをどう使うだろう?
金融化された世界では次のようになる。
・創業社はカネの使い方が分からず、大きな銀行に預ける。
・銀行はどう投資していいかわからず、機関投資家のポートフォリオに広く分散させる。
・機関投資家はどう運用していいかわからず、株のポートフォリオに広く分散させる。
・企業は投資を控えてフリー・キャッシュフローを増やすことで株価を上げようとする。そして、使い道に困って配当を出すか、自社株買いを行ない、このサイクルが繰り返される。
このサイクルのどの時点においても、実体経済の中でお金の使い道がわかっている人はいない。
P126
将来価値の問いに対するいちばん一般的な答えは、分散されたポートフォリオ - 「すべての卵をひとつのカゴに入れるな」
とよく言われるやつだ。
べき乗則を理解している投資家は投資案件の数をできるだけ絞り込む。
でも、人生はポートフォリオじゃない。
企業家は自分自身を分散できない。
ひとりで何十社も同時に経営できないし、人生を分散させることもできない。
あえて起業するなら、かならずべき乗則を心にとめて経営しなけらばならない。
いちばん大切なのは、
「ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝る」
ということだ。
5章で述べたように、ある市場はその他すべての市場に勝る。
11章で見るように、たいていの場合、ある販売戦略がほかの全てを支配している。
9章で紹介するように、時間と意思決定もまたべき乗則に従い、ある瞬間が他の全ての瞬間よりも重要にjなる。
べき乗則を否定して、正しい判断を下すことはできなし、いちばん大切なことはたいてい目の前にはない。
それが隠れていることもある。
それでも、べき乗則の世界では、自分の行動がその曲線のどこにあるのかを真剣に考えないわけにはいかない。
P142
隠れた真実の見つけ方
隠れた真実には二種類ある。
自然についての隠れた真実と人間についての隠れた真実だ。
自然の謎も人間の謎も、解き明かすと同じ真実に行く着くことがある。
もう一度独占の謎を考えてみよう。
競争は資本主義の対極にある。
例)
企業収益を定量分析すれば、競争によって収益が失われることがわかるはずだ。
同時に、人間的な側面から問うこともできる。
経営者が口にできないことはなんだろう?
独占企業は注目を避けるために独占状態をなるべく隠し、競争企業はわざと自社の独自性を強調していることに気づくはずだ。
表面的には企業間にあまり違いがないように見えても、実際には大きな違いがある。
読みかじり - ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか 単行本 – 2014/9/25 ピーター・ティール
まえがき
最近、物議を醸したプロジェクトは、ティール・フェローシップである。
これは、20歳以下の若者に対して、学校をやめる他には条件無しに2年間で100万ドルを支給し、研究や仕事に没頭させるちうプログラムである。
これはあまりにも大胆な社会実験であり、一定の批判を受けた。
しかし、ティールによれば、今の高等教育の隆盛はバブルでしかなく、飛び抜けて優秀な頭脳の持ち主にとっては、大学は集中すべき活動に割く時間を奪い、一般的な活動しか与えていない有害なものである。
「完全に自主的な知性、何か新しいMのを作る決意、そして、それを実現する力を持った者」
をその課題に専念させれば、大きな成果を上げることができるから、その資金を出そうというわけである。
このプログラムの応募書類の中には、本書でも紹介される、ティールが最も重視する質問が出てくる。
それは、
「世界に関する命題のうち、多くの人が真でないとしているが、君が真だと考えているものは何か?」
というものである。
つまり、ティールは、強い個性を持った個人(ただし、実際にはティールは少人数のチームを重視する)が、世界でまだ信じられていない新しい真理、知識を発見し、人類をさらに進歩させ、社会を変えていくことを、自らの究極の目的としているのである。
P22
採用面接でかならず訊く質問がある。
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
P24
進歩は次の二つのか形のどちらかになる。
ひとつは水平的進歩、または拡張的進歩と言ってもいい。
それは、成功例をコピーすること、つまり1からnへ向かうことだ。
水平的進歩は想像しやすい。すでに前例を見ているからだ。
もうひとつの垂直的進歩、または集中的進歩とは、新しい何かを行うこと、つまりゼロから1を生み出すことだ。
それまで誰もやったことのない何かが求められる垂直的進歩は、想像するのが難しい。
1台のタイプライターから同じものを100台作るのが水平的進歩だ。
タイプライターからワープロを創れば、それは垂直的進歩だ。
P101
あいまいで楽観的な僕たちの世界
あいまいな金融
どうやって富みを創り出すか皆目分からない時に唯一利潤を上げる金融は、あやふやな未来にぴったりの業界だ。
金融業界にいても、すべてがあやふやだと分かる。
成功した企業家が会社を売却するとどうなるかを考えてみよう。
そのカネをどう使うだろう?
金融化された世界では次のようになる。
・創業社はカネの使い方が分からず、大きな銀行に預ける。
・銀行はどう投資していいかわからず、機関投資家のポートフォリオに広く分散させる。
・機関投資家はどう運用していいかわからず、株のポートフォリオに広く分散させる。
・企業は投資を控えてフリー・キャッシュフローを増やすことで株価を上げようとする。そして、使い道に困って配当を出すか、自社株買いを行ない、このサイクルが繰り返される。
このサイクルのどの時点においても、実体経済の中でお金の使い道がわかっている人はいない。
P126
将来価値の問いに対するいちばん一般的な答えは、分散されたポートフォリオ - 「すべての卵をひとつのカゴに入れるな」
とよく言われるやつだ。
べき乗則を理解している投資家は投資案件の数をできるだけ絞り込む。
でも、人生はポートフォリオじゃない。
企業家は自分自身を分散できない。
ひとりで何十社も同時に経営できないし、人生を分散させることもできない。
あえて起業するなら、かならずべき乗則を心にとめて経営しなけらばならない。
いちばん大切なのは、
「ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝る」
ということだ。
5章で述べたように、ある市場はその他すべての市場に勝る。
11章で見るように、たいていの場合、ある販売戦略がほかの全てを支配している。
9章で紹介するように、時間と意思決定もまたべき乗則に従い、ある瞬間が他の全ての瞬間よりも重要にjなる。
べき乗則を否定して、正しい判断を下すことはできなし、いちばん大切なことはたいてい目の前にはない。
それが隠れていることもある。
それでも、べき乗則の世界では、自分の行動がその曲線のどこにあるのかを真剣に考えないわけにはいかない。
P142
隠れた真実の見つけ方
隠れた真実には二種類ある。
自然についての隠れた真実と人間についての隠れた真実だ。
自然の謎も人間の謎も、解き明かすと同じ真実に行く着くことがある。
もう一度独占の謎を考えてみよう。
競争は資本主義の対極にある。
例)
企業収益を定量分析すれば、競争によって収益が失われることがわかるはずだ。
同時に、人間的な側面から問うこともできる。
経営者が口にできないことはなんだろう?
独占企業は注目を避けるために独占状態をなるべく隠し、競争企業はわざと自社の独自性を強調していることに気づくはずだ。
表面的には企業間にあまり違いがないように見えても、実際には大きな違いがある。
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