プレジデント - 未来の泰斗「抜井理紗」私の風が吹くまでの雑誌記事 P8
ヨットは帆に風を受けて推進力を得るが、その構造上、目的地まで一直線には進めない。
ジグザグ進むのだ。
スタートの号砲が鳴ると、選手は風が強く吹く方を目指す。
皮膚で風を読む。
そのとき、頬のセンサーが鋭い選手ほど、先手を打っていいコース取りができる。
判断が遅れると、前方を走る艇の影響で、受ける風の量が減り、スピードが落ちる。
手つかずのフレッシュな風を独り占めするため、理紗はさらに情報収集する。
揺れる艇上で、波の「表面」を瞬時に分析するのだ。
「海面が”黒い”ほうに進むんです。黒い部分は風が強い証拠」