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2016年12月5日月曜日

投稿日 2016年12月5日月曜日

読みかじり - ハーバードのトップ教授が予言「戦争と暴力はやがて消えます」 - クーリエジャポン(APR16)

P36

カリスマ心理学者・ピンカー教授

実は未来の関する暗い予測、特に「世界の平和が暴力によって脅かされていくのではないか」といった見方は、いくつかの悲観的なバイアスを受けて生まれることが多いのです。

多くの場合、誰かが人々の感覚を操作したわけではなく、さまざまな要因が重なって、ネガティブな推測が生まれていくのです。


その要因の一つはマスコミの報道です。

マスコミの仕事は、世界の新しい出来事を伝えることです。
ですから私たちは、聞いたことのないような、残虐な暴力に関するニュースにはよく接します。
けれども、平和な場所で起きているさまざまなことについて報道で知らされることはまずありません。

同時に、認知心理学で「利用可能性ヒューリスティック」と呼ぶ心のメカニズムも、未来予測をネガティブな方向に偏らせます。

利用可能性ヒューリスティックとは、すぶ頭に浮かぶ出来事について、「これはよくある事件で、再び起きる可能性が高い」と思い込むことです。


例えば朝刊に「サメが海で人間を襲った」と報じた記事があったとします。するとそれを読んだ多くの人は、海水浴に行くのが怖くなるものです。「自分も海に行けばサメに襲われてしまうだろう」と考えるのですね。

でも、その同じ人が、車を運転しながら携帯電話を使うことは怖がらないのです。

運転中の電話が原因で死ぬ確率の方が、海でサメに襲われて死ぬ確率より高いにもかかわらず。。。。


つまり人の直感は、印象的な記憶に左右されるのです。


このように、マスコミの特性と心のメカニズムとの相乗効果で、世界は実際より危険に思えてきます。



・国や共同体にとって、土地はもはや富の源泉ではありません。

したがって、豊かさを得るための手段として、領土の侵略は以前ほど魅力ある行為ではなくなっています。

数世紀前までは、国を富ませたければ、一番手っ取り速いのは農地や天然資源が豊富な土地を侵略することでした。

けれども、今日、米国のように豊かななりたいといってシリコンバレーを侵略しても無駄です。米国の富はシリコンバレーの土地そのものにあるわけではなく、そこに住む人々の知識と協力関係が生み出しているからです。


テクノロジーの進化が、平和な世界の構築に貢献するのは間違いありません。


また、近年、世界的に、「動物の権利」が強く叫ばれている事実も、未来に対して楽観的でいられる理由の一つです。