人には生まれながらにして偏見、先入観が刷り込まれている。
苦しみから逃れるためには、自力で偏見のフィルターを取り去って、世界を正しく見なければいけません。
それが、仏教の第一の目的です。
「宇宙の真ん中に自分がいる」という思い込み
同じ根を持つキリスト教とイスラム教をひとまとまりに考え、
仏教は、神や外界の超越者の存在を認めない独特の世界観を持つ宗教。
P51
宇宙空間は曲面ではなく、真っ平ら。
CMB(COSMIC MICROWAVE BACKGROUND RADIATION)の観測によって、宇宙空間が「平坦」、つまり真っ平らであることも分かりました。
P57
仏教では、時間は無限の過去から無限の未来へ止まることなく続くと考えます。その時間の流れの中で、私たちは永遠に輪廻を繰り返す。
輪廻から離脱して涅槃に入ることを「解脱」と言いますが、これは時間の枠組みの外へ出ることにほかなりません。
涅槃では時間が「止まる」のではなく、時間という概念自体が存在しないのです。
ちなみに、時間の流れる世界のことを仏教では「有為」と言うんですね。
P78
釈迦は、大変斬新な宗教概念を作り上げました。
絶対者のいない宗教世界です。
例えば、キリスト教やイスラム教の場合、
この世には最初から神という絶対者が存在しており、神との契約によって、私たちの人生の幸、不幸が決められると考えます。そして神の言葉を伝える伝達者として遣わされたのが、キリストやムハマンドです。
彼らは神の教えを私たちに伝えてはくれますが、彼ら自身が、その宗教の原理をつくったわけではない。
これに対して、仏教は、そういった神のような普遍的存在を想定しない宗教です。
P86
仏教とはそもそも何か
「仏、法、僧」の三宝と三つの基本理念
「仏」は仏陀。大乗仏教では阿弥陀様や薬師様などいろいろ出てくるが、もともとはお釈迦様のこと。
「法」は世界の法則性を正しく理解し、その中で確実に煩悩を消していくための教え
「僧」はサンガ(僧伽)というインド語で、これは集団と言う意味。
出家したお坊さんがつくる修行集団のこと
仏教という宗教は、本質的に組織宗教。
三つの理念
①超越者の存在を認めず、現象世界を法則性によって説明すること
②努力の領域を肉体ではなく、精神に限定すること。
③修行のシステムとして、出家者による集団生活体制(サンガ)をとり、一般社会の余りものをもらうことによって生計を立てること。
P109
サンガ抜きの大乗仏教という日本仏教の特殊な形