エコノ考記事より
戦後間もない1945年(昭和20年)12月、
焼け跡の東京・北千住で小さな洋品店が商売を始めた。
売り場はわずか2坪。
母親と2人の息子で切り盛りした。
元日から店を開け、売り上げのお金は神棚に供えた。
母は子に
「お客は来てくださらないもの」
「お取引先は売って下さらないもの」
「銀行はお金を貸してくださらないもの」
そういう
「ないない尽くし」
から商いは出発するのだよ。」
と商売の厳しさを説いた。
母は息子に対し、客がいない時でも椅子に腰かけることを許さなかった。
客がいつ訪れてもいいように、立って待ちなさいと。
店の奥の壁には、
兄が「我等の誓い」として「社訓を貼った。
「温かい人間味、思いやり」
「うぬぼれず、自己反省」など、
謙虚な姿勢や感謝の心の大切さを肝に銘じる15か条が並んだ。
この「羊華堂」は繁盛した。
次々と店を増やし、国内を代表するスーパー、イトーヨーカ堂になった。