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池上氏
NHKの社会部時代は毎日1冊ずつ - 通勤に往復2時間半かかったから
現在の仕事場には2万冊
・本好きになったきっかけは、小学校3年か4年のころ、母親が買ってきて。
でも、そのときは猛反発しあんです。親に与えられた本なんて、読みたくないでしょう。
ところがあの時代はテレビもゲームもない。晴れた日は、学校から帰ると日が暮れるまで友達と遊びまわるのですが、雨の日はやることがない。あるいは、友達の都合が悪かったりして遊び相手がいない。そうなると暇で暇でしょうがないから、母親が買ってきた本を取り出して読んだ。すると、これが面白かったんですね。
たまたま父親が本好きで、家には森鴎外全集や夏目漱石全集が置いてあってので、暇なときは「坊ちゃん」とか「吾輩は猫である」とか。。。。
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今、若いお母さん方から「子どもに本を読ませたいのですが、どうすればいいですか?」
という質問を良く受けます。
これだけ誘惑が多いとなかなか難しいでしょうが、「この本を読みなさい」と親が押し付けても絶対に読まないから、それはやめたほうがいい、と答えます。
親が本を読んで笑ったり、親同士が本について語って、「こんな面白い本を子どもになんか読ませられない」という態度で、書棚にしまったりしておきなさい、と。そうすると、子どもはこっそり読んだりするんです。
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父から学んだ学ぶことの大切さ
私が本好きになったのは、父親の影響も大きいと思います。
親父が勉強好きでね。
銀行員だったのですが、大学は出ていないのでノンキャリですよね。ノンキャリだから深夜まで働くことはない。仕事を終えると、帰りに大学の図書館へ寄って勉強をするんです。
当時、慶応大学の図書館は、10円払うと誰でも利用できたそうで、親父はそこで英語の勉強をしていました。
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結局、青春期に感銘を受けた作家というのが、いまも好きな作家ですね。
外国人だとドストエフスキー。
日本人だと高橋和巳です。
高橋和己を詠んだのは、大学1、2年のころ。
「邪宗門」など。扱っているテーマがあまりに重いが、落ち着いた福永武彦で調整するという具合。