「ギグ」という単語は元来、ジャズなどを中心に音楽業界で使われていた言葉だ。
ステージなどで演奏するミュージシャンたちが、その日の出演ごとに契約に応じた報酬をもらうという意味が転じて、インターネットを通じて単発の仕事を請け負って収入を得ることを指すようになったと言われている。
そのような労働形態が拡大する経済圏が、つまりはギグ・エコノミーということだ。
「多くのアメリカ人は、小さな部屋を貸し出したり、ウェブサイトのデザインを請け負ったり、自宅で作った小物を売ったり、果ては自家用車でドライバーをやって副収入を得ているのです。」
ヒラリーはこうした経済圏は革新的だが、そこで働く人たちの雇用がきちんと保護されて安定した将来があるのかは疑問だと発言した。
シェアリングエコノミーでは、需給のマッチングを担っているプラットフォームが圧倒的な強者になる構造になっている。
彼らが利益を最大化しようとするほど、そこで働く人々へのコストは圧迫されていく可能性が高い。
例えばUberでは、全てのドライバーは健康保険などの福利厚生や労災補償を受けれれる正社員ではなく、長期間フルタイムで働き続けても、独立した個人事業主という契約になっている。
自由な働き方が生まれる一方、個人に過分なコスト負担が課せられると、全体的に不安定な「日雇いの中間層」が増えるリスクがある。