化学で「透明人間」になれますか? 人類の夢をかなえる最新研究15 (光文社新書) 新書 – 2014/12/11
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人類がいままで掘り出した金の量は合計で約10万トンでしかない。
金は重たいので、体積にすると意外と少なく、オリンピックのプールの3杯分ほどしかない。
金の比重は約19.3で、最も重い金属の一つ。
海水は金の宝庫?だが取り出すのが大変。
本気でこれをやろうとしたのが、
フリッツ・ハーバー
ハーバーはノーベル賞と取った人で
空気中の窒素をアンモニアに変える「ハーバー=ボッシュ法」を開発、これによって、肥料の大量生産が可能になった。
この方法は現在、世界の食料生産の3分の1を支えている!
海水に溶けている金の量は、0.01ミリグラム以下。1グラムn金を集めるには、東京ドーム数杯分の海水が必要。
旧海軍のゼロ戦なんかは、海水から造られた。
海水の「にがり」からマグネシウムという金属が取り出せる。
そのマグネシウムとアルミニウムなんかを混ぜたのが、「ジェラルミン」という合金で、軽くて丈夫だから、戦闘機の機体に使われていた。
にがりとは、海水から塩を製造する時に、食塩を抽出したあとに残る液体。
苦い味がするため、苦汁と書く。
主成分は塩化マグネシウムだが、他にも、硫酸マグネシウム、演歌カリウム、塩化カルシウムなど、100以上のミネラルを含む。
今は、海水からマグネシウムを取りだし、それを燃やしてエネルギー媒体に使おうという研究が進んでいる。
二酸化炭素も出ないし、マグネシウムの精錬には太陽光エネルギーを使うからクリーン。
これはかなり有望だから、将来はマグネシウムで車が走るかもしれない。
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歴史を飾ったダイヤモンド
今のように価値があがったのはルネサンス期以降。
ダイヤは一番硬い物質ですから、研磨する方法が無かったんです。
15世紀に「ダイヤはダイヤで磨けばいい」ということが発見されて、本当の美しさが引き出せるようになりました。
現在主流のブリリアント・カットができたのは100年ほど前です。
入ってきた光が一番きれいに反射するように設計された形です。
ブリリアント・カットは、
数学者でもあったベルギーの宝石職人、マルセル・トルコウスキーによって1919年に開発された。
標準的なものは、58の面を持つ。
屈折率の高いダイヤモンドに最も適した形状であり、他の宝石にはほとんど適用されない。
ダイヤの成分は炭素で、鉛筆の芯や石炭の主成分と同じ。
つながり方の差でダイヤになるかどうか。
黒鉛は、平面的に並んだ炭素のシートが積み重なった構造だけど、ダイヤは三次元的ネットワーク構造を取っている。
ダイヤは地下数十キロメートルの、高温高圧の環境でできます。
それが、岩のすき間から噴き上がり、地上に出てきたものと考えられています。
ダイヤモンドが採れる場所は、
アフリカ南部、オーストラリア、ロシアなど、誕生から10億年以上経過した陸地に限られている。
構造ダイヤモンド
キュービックジルコニアはジルコニウムの酸化物で、屈折率や透明度などがダイヤにかなり近い、「質屋泣かせ」の石。原価はダイヤの100分の1以下。
見分け方は
ダイヤは硬いので摩耗しないが、ジルコニアはどうしても角が擦れて丸くなる。
その他、ダイヤは水をはじくので、水を垂らすと表面で丸い水滴になる。
また、油になじむので、本物には油性ペンで線が引ける、といった見分け方もある。