ウェルズSF傑作集〈第1〉 (1965年) (創元推理文庫) 文庫 – 古書, 1965
阿部知二訳
エピローグから
彼は人類の進歩を悲観的にしか考えていなかった。
人類の文化の蓄積はばがげた建築物にすぎず、ついにはその建築者たち自身に崩れかかって、彼らを破壊してしまうことは避けられないといううのだ。
もし人類がそういう運命にあるなら、われわれとしては、それに気づかないふりをして生きていくしかないわけだ。だが、私にとって未来はまだ暗黒であり空白であるにすぎない。
だが、心をなぐさめられることにには、わたしの手もとに二つの奇妙な白い花がある - いまはひからびて茶色っぽくひしゃげ、いまにもぼろぼろになりそうだが - この花が証明してくれるのは、人類から英知や力が失われても、感謝の情とおたがいに慕い合う思いだけけは、心臓のどこかかに残っている、という事実なのだ。
タイムマシンの描写はすごい!