記事抜粋です。
ふだんは「吉田君」「やっちゃん」などと呼び合っている友達同士でも、手紙のあて名には「様」を付けますね。
「様」には、逆様(さかさま)のように、方向を表す使い方があります。
人を直接、指すのを遠慮して、その人のいる方向を示すことで、敬いの気持ち(敬意)を表しているのです。
「殿」が付いた手紙をもらったことがありますか?
「殿」には、御殿、宮殿の意味で、やはり直接でなく、その人の住む場所にあてて送るという意味がこめられています。
「様」より「殿」の方が前から使われていました。
「殿」は平安時代には高い敬意を表しましたが、やがて、後から生まれた「様」に比べ軽い言い方になってしまいました。
使い続けているうちに、程度が下がったのでしょう。
自分の用事で出す手紙では「様」がふつうです。
「殿」は役所が正式に送る手紙などで用いられてきましたが、最近は「様」に変えるところも出てきています。
「殿」はだんだん姿を消しつつあるようです。