◯伸びる勉強法:体を動かして五感を使う。(英語を音で聴く、英文を発音する、英字を書く、
紙の 辞書を使う。)
×悪い勉強法:目と頭だけを動かす。(音を聴かない、発音しない、英単語の意味を暗記する。)
脳科学の観点から。。。
「脳に何かを記憶させるには、できるだけ手がかりが多いほうが良いのです。単語を覚えるよりも文全体を丸ごと覚え、音で聴いたり、声に出したり、あるいは手で書くなどして、さまざまな形でインプットしたほうが脳への定着がよくなり、記憶を引き出すときも容易になります。」
記憶を定着させるためには、ツールも慎重に選択したい。
最近は持ち運びに便利な電子辞書やスマホアプリを使う人が増えてきた。しかし脳科学の観点からは、紙の辞書も持っておいたほうがいい。
理由は二つある。
一つは、前述の手がかりが増えるからだ。
紙の辞書で引きば、「この辞書の真ん中あたりのページの右上にあった」という物理的な位置情報が記憶され、それが思い出す手がかりになる。
線を引けば、その動作も手がかりの一つになる。
一方、少ない動作で目当ての単語にたどりつける電子辞書は、便利な反面、記憶の手がかりが少ない。
また、電子辞書は一覧性が低いこともデメリットだという。
「辞書でtakeを引くと、つかむ、場所を占める、食べるなど、さまざまな用例が出てきます。
このように日本語と英語の関係は「多対多」で非常に複雑ですが、一覧性のある紙の辞書ならたくさんの語義や用例が自然と目に入り、辞書を引くたびにさまざまな言語の特徴が脳に蓄積していきます。」
リスニングにも、脳科学的におすすめできない勉強法がある。
英文を見ず、音だけをわかるまで繰り返し聴くやり方だ。
「
脳が英語として理解できない音を繰り返し聴いても、途中からそれを理解し始めることはほとんどありません。日本語とは全く異なる音声の連なりとして聴けなければ、リスニングの上達を妨げるおそれがあるので要注意です。
脳は繰り返された情報は大切なものだと勝手に認識する性質を持っています。
そのため聴き取れない音のままで繰り返し聴くと、それば間違ったまま定着してしまい、かえって正しく聴き取ることが難しくなります。
「意識することなく自然に英語を読んで話せる省エネ脳に切り替わるまでに、およそ6年かかるということがわかってきました。一方、母語から遠い外国語を仕事で使えるくらいにまで読めて話せるようになるには、2200時間の学習が必用だというデータがあります。」
東京大学大学院教授
酒井邦嘉氏