雑誌からの抜粋させてもらっています。
相手の名前を失念した。
あまり大きな声ではいえませんが、お客様のお名前を憶えていないこって、実はしょっちゅうありますよね。私たちは一日に何件もお客様のところを回らなくていはなりません。ど忘れというよりも、そもそも全員の名前を覚えているなんて無理なんですよ。
不動産営業マンの三住さんの話を聞いていると、普段から人の顔と名前が一致せずに悩んでいる人間としてはほっとした気持ちになってくる。しかし、三住さんはお客さまの名前がわからないまま、どのようにして応対をこなしているのだろう。
「一般的な呼称を使えばいいのです。{ご主人様}{奥様}などいろいろあります。でも、それで嫌な思いをするお客様はいません。むしろ、新婚早々に新しい住まいを購入したお客様に、そうお呼びすると喜ばれたりします。自分たちが夫婦として認められたことが嬉しいのでしょうね。」
それでも相手の方の名前を知る必要があって、お客さまの自宅を訪問しているときであれば、部屋のなかの郵便物の宛先や、壁に飾られた賞状から探しだりたりするそうだ。しかし、そうしたヒントが見つからない場合には、会話に「私、三住は。。。。」と自分の名前を入れるようにする。すると不思議なことに、それにつられてお客さまも自分の名前をトークに織り交ぜるようになるそうなのだ。
そんな三住さんと同じようにお客さまから名前を聞き出す方法として、吉野さんが活用しているのが、「名刺の再交換」である。ただし、それには前振りのトークが必要になってくる。
「お名前をど忘れしたことに気がついたのなら、まず「この前はどこでお会いしましたでしょうか?」
とお尋ねします。お客さまのことを決して忘れているわけではないことを伝えるのです。そして「最近、名刺が変わりましたので、こちらをどうぞ」と言って差し出します。そうすると相手の方にも自分の名刺を出していただけます。名刺は交換するという習慣が身についているからなのでしょうが、これでお名前がわかります。」