レオナルド・ギャンランテ教授は、
「老化はいずれ”病気”に分類されるようになり、近い将来に”抗老化薬”は開発できる。」
と信じる分子生物学を起点にしたアンチエイジング研究の第一人者だ。
酵母の寿命を制御するサーチュイン遺伝子の一つ(Sir2)を発見したことで知られる。
人間の老化を遅らせる薬を開発する会社を99年に設立し、資金調達額は合計で4900万ドルに達したという。
MITの4年間で「酵母の老化」について研究しました。
酵母は永久に生きると思う人も多いのですが、
実際は1週間で死にます。
ギャランテ教授と一緒に、酵母の老化のメカニズムを初めて解明しました。
染色体がもつれて死ぬのです。
・サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子の1つである。
・レスベラトロールの研究(サーチュイン遺伝子を活性化するとされる)
その分子が重量なのは、一つは老化を遅らせる効果があることです。
今研究しているもうひとつの分子は非常に新しい分子で、レスベラトロールよりも寿命を延ばす能力が高いものです。
NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドの略で、サーチュイン遺伝子を活性化させる化学物質)という物質のレベルを上げる役割をします。
NADは老化とともに減少します。
NADのレベルを上げると体全体が若返ります。
これをマウスに投与すると、人間で言えば60歳の体が30歳の体になります。
我々が考える老化の原因は、
「細胞がDNAをどのように読むか」
が変化してしまうことです。
いわゆるエピジェネティクス(環境などの条件が変わることで、様々な遺伝子のオン・オフが調節されること)です。
細胞がDNAを正しく読めば、細胞が若返るということです。
老化には二つのステージがあると考えています。
ステージ1は80歳までの期間です。
ヒトは中年を過ぎると、細胞の核とミトコンドリアにあるDNAが正しいコミニュケーションを取れなくなっていることがわかっています。
それが原因でDNAの読みが変わってしまい、老化が進むのです。
これについては、我々のアプローチによって若返りが可能と考えています。
もっと歳をとるとステージ2になり、
ミトコンドリアDNAの突然変異が起きたり、不完全なかたちのタンパク質が増えたり、寿命と関係するテロメア(細胞が生まれ変わるたびに減少していく遺伝子)にもいろいろなことが起こり、後戻りは難しくなります。