雑誌から抜粋させていただきました。
ライバルから契約を奪還したい
ライバル会社から契約を奪い返す。それもほぼ契約することが決まっていて、アドバンテージはライバルにあるような不利な状況において、どのように巻き返しを図ったらよいのか。このようなシーンにおける、吉野さんと三住さんのセールス話法はものの見事に一致している。
吉野さんが言う。
方法はライバルを貶すか、褒めるかの二つです。でも、前者は自分の品性まで貶めますよね。そこで私はコンピューター関係の営業時代に先の褒め殺し話法の応用編を試みました。
「たぶんこのくらいの金額で、アフターサービスもこのくらいのことを提示されているのではありませ
んか。さすがにA社さんですね。」
と大きく見積もって褒め上げました。
すると
「えっ、そんなことはないよ」
と驚かれることが多かったのです。
お客さまがそうした反応を示すということは、まさに契約しようとしていた内容に不満を抱き始めた前兆なのだ。そうであれば、「あんなことも、こんなこともできるのでは」と提案していき、
最後に
「当て馬と思っていただい構いませんので、改めて見積もりを出させてください。」
と畳み掛ける。すでにこの時点でライバル会社の手の内を掴めているので、逆に優位な立場に立てるのだ。
三住さんはライバル会社を貶さない自分の営業を「引きのセールス」と呼んでいる。
「お客さまは自分がいいと思ってライバル会社と話をすすめているのに、そのライバルのことでケチをつけれられたら面白くない。そこで「当然こんなこともしているでしょうね」とライバル会社を褒めた後で、購入から入居までのスケジュール管理など、ライバルがしていないであろう細かい提案を行います。すると、お客さまは心のどこかで不安を感じ始めます。不動産は高額な取引だけに、お客さまは信頼できる人間に依頼したいと常に願っているものなのです。」
そして、ライバル会社との契約の前日に、「順調に進んでいらっしゃますか}と電話を入れる。それで契約がひっくり返ったことが実際に何度もあるそうだ。