タイのしきたり 単行本 – 2012/3
P18
タイ人の信仰
仏教以外にバラモン教だったり、ピー信仰(精霊信仰)だったりします。
その昔、まだ対に宗教が無かったころ、人々は理解できない超常現象は神霊、精霊、お化けやあの世のものによるものだと信じていました。それらをひとくくりに「ピー」と呼んだのです。
家を守る「ピー・バーン」
土地の精霊「ピー・チャオティ」
「ピー」を祀ることで、「ピー」に守られ、「ピー」の存在を無視したり、馬鹿にしたりすると悪いことが起きると信じられていました。
誕生直後の「剃髪式」、「出家式」、死後に故人の遺体を洗う儀式などはバラモン教から来ています。
仏教はバラモン教の後に伝わった宗教です。
タイには、自分にとって大切な日には何か良いことをするという習慣があります。
タイ人は小さいころから、良いことをすれば良いことが戻り、悪いことをすれば悪いことが戻るということを教えられます。
これは仏教の「因果応報」の教えです。
P23
すべてカルマのせい
タイ人は「カルマ」を信じています。
カルマは日本語では「業」、「行ない」を意味し、良い行ないをすれば善徳が積まれ、悪い行いをすれば悪徳が積まれます。
善徳はタイ語で「ブン」、
悪徳は「バープ」と言います。
人の人生は貯金箱のようなもので、良いことをたくさんすると「ブン」がたくさん貯まっていくし、悪いことばかりをすると「バープ」がたくさん貯まっていくと考えられています。
P25
ブンを貯める。
悪いことを考えない、人の悪口を言わない、怒らないことも良い行いとみなされるので「ブン」がたまります。
さて、貯金箱にある「ブン」は人に分けることができると考えられています。
そのため、対では大切な人に「ブン」を積んであげる習慣があります。
「ブン」は自分に積めば自分に良いことが戻ってきますし、他人に積めば相手に届くと信じられています。
方法は簡単です。
相手の代わりに何か良いことをして、心の中で「このブンが◯◯さんに届きますように」と唱えるだけでいいのです。
亡くなった人にも「ブン」を積んであげることができます。
タイ人のとって大切なことは
タイ人は「自由」という言葉が好きです。
タイ人にとって、自由とな何でしょう。
仏教徒にとっての最大の自由は解脱です。
解脱とは煩悩や執着から心が解き放され、苦悩から完全に開放されることを意味します。
仏教徒であるタイ人は解脱するために修行をしたり、ブンを積んだりしているのです。
日本人の「こだわり」はタイ語で執着になり、苦悩の始りとされます。
中道にそった、きつすぎなく緩みすぎず、ほどほどが一番良いとしています。
タイ人が楽観的なのは、仏教の教えでしょう。
仏教では過去は過ぎ去ったもの、未来はまだ到達していなものとみなします。
人は必ずしも明日まで生きるという保障はないのだから、未来は到達しないかもしれないのだKら、未来にも過去にもとらわれず、今を生きればいいと教えています。
今の瞬間が一番大事なのです。
お釈迦様はすべてのものは「無常」、つまりいずれは消滅するもので、とどまることなく変わってゆくいのだと説いています。
ゼロから始り、最後はゼロに終わっていくのです。
永遠に変わらないものなどないのです。
タイ人は、「今の悲しさもつらさもいZれは変わるもの」と信じているからこそ、悲しい思いやつらい思いにいつまでも執着しないのです。
P36
マイペンライ
マイペンライはただの「大丈夫」ではありません。
その言葉には「現状を受け止める」とい精神が隠されているのです。
タイ文化は言葉の文化です。
考えや気持ちを全て言葉で表すのがタイのやり方です。
以心伝心は不可。
心魂はタイ語で「クワン」と言います。
「クワン」は頭のてっぺんに宿っていると信じられています。