2014年7月24日木曜日

投稿日 2014年7月24日木曜日

読みかじり - 東洋経済(2014年6月16日号より) チームメンバーは「先着順」でいい!

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なぜかというと答えは簡単、「誰にでもよい部分はあるから」だという。
とい部分が素敵ですね!

チームメンバーは「先着順」採用でいい!? 


■ 「もっと優秀なメンバーがいれば……」と嘆くよりも

 会社員の仕事は、基本的にはチーム作業だ。しかし共に働くスタッフを自由に選ぶことはなかなかできない。役職や立場が上がるにつれて人事に関する発言権もある程度高まるが、選択肢は限られている。「もっと優秀なメンバーがいれば……」と、自身のチームの人材難を嘆いている人も少なくないだろう。

 僕もプロデューサーとしてスタッフ陣を率いる立場。当然、高い資質を持った人材に加わってほしいとは思う。しかし、事前にあまり注文はつけず、割り振られたスタッフをまずは受け入れることにしている。

 この考えに至ったのは、「世界レベルの中小企業」という企画で、愛知県豊橋市の樹研工業を取材したことがきっかけだった。2002年当時、樹研工業は直径0.149ミリメートル、重さ100万分の1グラムという世界最小、最軽量のプラスチック製歯車を開発し、世界的に注目を集めていた。

 松浦元男社長にお話を伺って驚いたのが、同社の新入社員の採用方針だった。それはなんと「先着順」。能力や経歴は不問、単に応募が早かった順に内定を出しているというのだ。なぜかというと答えは簡単、「誰にでもよい部分はあるから」だという。

 たとえば高校を2回も留年して入社した社員については「ダブった分、同級生が多いだろ?  人脈があるってことだよ」と笑っていた。

 要するに学歴などの情報やちょっとした面接でわかることなど、たかが知れているということなのだろう。わかりもしない将来性をあれこれ考えるより、個人と向き合う覚悟を決め、ある程度、時間をかけてそれぞれの強みを見いだしていく。そのほうが結局は効率がよいのではないか。

 当初は半信半疑だったが、自分自身がチームを率いる経験を重ねるうちに、確かにそうかもしれないと思うようになった。特にその思いが強くなったのは、以前放送していた「麻木久仁子のニッポン政策研究所」という番組で、アシスタントディレクター(AD)を務めたH君の成長ぶりを目の当たりにしてからだ。
■ 知識や経験の不足を自覚しているがゆえの強み

 「ニッポン政策研究所」は、日本社会が直面する課題に対し、具体的な政策を提示するという硬派な内容で、学術論文を読み込んだり、シンクタンクのリポートをチェックしたりと準備が大変な番組だった。報道志向のスタッフをそろえたかったのだが、ほかの番組の人繰りの都合もありメンバー集めは難航。困っていたときに、たまたま手が空いていたのがH君だった。

 H君とは「小島慶子キラ☆キラ」という昼の番組でも一緒に仕事をしていたのだが、天然ボケのいじられキャラ。会議でトンチンカンなことばかり言って周囲をあきれさせる一方、人当たりのよさで出演者にもかわいがられていた。時事問題に関する知識はほとんどゼロで求めていたタイプとは程遠かったが、雑務を担当するADとして参加してもらうことにした。

 ところがこのH君が、大化けしたのだ。とにかくよく勉強して、毎回番組テーマに関する参考図書や僕が薦める入門書を次々に読破。わからないことがあれば物おじせずに質問し、ゲストの学者や専門家と仲良くなって企画の相談にも乗ってもらっていた。

知識や経験は足りないが、それを自覚しているがゆえに人の力をうまく借りて結果を出していったのだ。その後もH君はメキメキと力をつけ、僕が昨年立ち上げた新番組「荻上チキ・Session‐22」ではエースディレクターの一人として活躍しているのだから、人間、先のことはわからない。 そして「先着順」採用にはもう一つの利点がある。自分の好みが入らないため、メンバーの多様性が保たれることだ。「こういうタイプが欲しい」という思惑を超えた、新しい発見があるのも醍醐味である。


構成:宮崎智之【「週刊東洋経済」2014/6/7号:企業買収】  ☆★☆お知らせ☆★☆

この記事の筆者・長谷川裕氏がプロデューサーを務める「文化系トークラジオLife」が、次回、6月22日(日)25:00~(6月23日1:00~)に放送されます! 

※なお、4月27日放送分は、ポッドキャストでも聴けます。
「マイルドヤンキー限界論~ ジモトでまったり では生きられない時代に必要な力」。
最近「マイルドヤンキー」、「ヤンキー経済」という言葉が流行っていますが、Lifeでは2008年から同様の指摘をしていました。しかしもはや、マイル ドヤンキー的な生き方が維持できない時代になりつつあるのではないか?  という危機感のもと、“これからの時代に必要な力”を考えます。

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